子育てと新規事業開発は似ている話 ②
前回の、育児と新規事業開発は本質的に似ている、という話の続きです。
今日は『②これまでの常識が通用しない』を解説したいと思います。
(過去分はコチラ)
似ている要素① やることが大量にありすぎる
似ている要素② これまでの常識が通用しない
●これまでの常識が通用しない
育児では、当然ながら大人の常識が一切通用しません。
言葉が通じない、とにかく泣く、のは当然として、細かなことで言えば「赤ちゃんは自分では寝られない」とか。
大人の感覚でいうと、「眠たいなら寝りゃ良いじゃん!」とか「なんで泣き止まないの!」と思い、ついイライラしてしまいます。後で毎回反省するのですが、でもそのときは疲労・寝不足も重なり、余裕が全くない状態です。
しかしあるとき、担当医師から「赤ちゃんの体内では毎日大きな変化が起きており、必死に適応しようと頑張っている状態」のだと聞きました。
「あぁ、この子は今、懸命に環境変化に適応しようと頑張っているのだな」と思い、それ以来、なかなか泣き止まなくてイライラしてしまうときも、一旦ひと呼吸ついてみるように意識しています。
親も子供の成長に合わせて柔軟に適応して、やるべきことはやりながらも、地道に見守って行こうと思いました。
●新規事業で陥りがちな失敗
新規事業もこれに似ており、既存事業における常識や前提が通用しないことが多いです。
その業界のルール・構造も違えば、顧客・競合を踏まえた自社の強み・弱みの認識も変わり、戦い方も異なります。
より具体的に言うと、例えば企画・開発の進め方やマーケティング手法、意思決定の仕方などのルールやプロセス・判断基準も異なってきます。
ですが、立ち上げたばかりの新規事業を、(過去成功した)既存事業的な感覚で「ガチガチなルール」、「厳しい基準」で判断してしまい、結果として可能性の芽が摘まれたり、実行スピードが損なわれ、より身軽な競合他社に負けたりします(どの新規事業関連の書籍にも当然のように書かれている内容ですが、普通にあります。
例えば既存事業における1億円の投資と、新規事業における300万円の投資を、同じような厳しさで判断してしまいます)。
●過去に捕われず、前提が異なることを認識し、やり方を見直す
初めてのことにチャレンジするのだから、これまで通り(既存事業の感覚で)スムーズに上手くいく、なんて早々ありません。
まずやるべきことは、これまでとは前提・常識が違うということを認識することです。
はじめてのことにチャレンジする際、何からやったら良いかが分からないため、とりあえずこれまでの経験(過去の成功体験)を拠りどころとし、あれやこれや試行錯誤すると思います。
過去の経験を活かすこと自体はとても良いことなのですが、それに”捕われて”しまうと、上手くいかなかったときに「なぜだ!」となり、途端に行き止まりとなってしまいます。
一方、上手くいかなかった事実だけを見て、『既存事業とは違うから、上手くいかない!』と決めつけて、即諦めてしまうのもダメです。
●仮説検証で学習を繰り返し、成功体験を積み重ねる
大事なのは『前提がどのように異なるから、きっとこうすれば成功するはずだ』とキチンと仮説を持って実行し、成功・失敗に関わらず『なぜそのような結果になったのか』をしっかり振り返り、考察することです。
そうすると成功・失敗体験から学習できて次に活かせるようになり、より成功確率・再現性を上げられるようになります(試行錯誤のアプローチは、次の『③ 環境変化が早い』でも触れたいと思います)。
エジソンは、多くの発明をする一方、その100倍の失敗をしたと言います。ですがエジソン自身は、失敗したとしても「上手くいかないことを発見した!」と前向きに捉え、多くの成功に繋げたといいます。
仮説検証と成功体験の積み重ねで、より良い方向に成長するための見習うべき姿勢・スタンスですね(とはいえ現実は、人間ですから、失敗した瞬間は困惑するし、凹みますけどね)。
自分も、過去多くの失敗をし、超凹んだりもしますが、キチンと振り返り・考察をすることで、あとから見たら、「あの失敗があって良かった(良い学びを得られた)」と思うことが多いです。
今日はここまで~。次回は『③ 環境変化が早い』です。